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2019年9月26日 (木)

10年越しの夢と10年後の未来 :: UWB on iPhone ::

ウルトラワイドバンドって何? iPhone 11はどう変わる?

本日、iOS13.1のアップデートの内容見て初めて知ったのですが、iPhone11シリーズには、全てUWBが搭載されているんですね。

10数年前の自分の修士論文がUWBに関するものであり、大きな関心を持っていた無線技術だったので、感慨深いものがあります。

UWBの黒歴史

一番最初にUWBが規格化されたのは、IEEE802.14.5eだったと記憶しています(Googleで検索したのですが、良いソースが見つかりませんでした)。この規格の製品化に力を入れていた企業がFreescaleで、今でいう"IoT"の中核を担う無線技術を担う技術と位置付けていました。(当時、"IoT"という言葉はまだなく「ユビキタス」が、IoTに当たるバズワードでした。)

この流れに「待った」をかけたのがIntelです。IoTではなく、PCの高速無線技術としてUWBに目をつけ、上記と全く異なる方式を用いてWirelessUSBを規格化して市場を席巻しようと試みました。この動きが最悪で、

  • UWBの方式を巡って、Freescale派とIntel派が出来てしまい、セットメーカーは、導入を躊躇せざるを得なくなってしまった。
  • 当時、PCには高速無線技術の市場の要求はなく、無理やり製品化したWirelessUSBが全く受け入れられなかった。

と、業界を混乱させ、「UWB=使えないもの」のレッテルが貼られてしまいました。

UWBの再浮上

今、再注目されている理由は、UWBに正確な測距技術ができることでしょう。詳細は省きますが、Freescale(現NXP)のUWB方式は、確かに副次的な理由で正確な測距が行えそうな規格です。無線業界では、今、盛んに無線通信を使った測距技術が画策されており、Bluetoothであれば、Bluetooth5.1でAoDという測距技術の規格化が決まっており、WLANでも測距技術の規格化が検討されています。

そんな中でも、Appleが敢えてUWBを乗せた理由は、

  1. 上記の規格化を待ってられなかった。
  2. WLAN、Bluetoothに加えて、UWBを乗せるメリットがあると判断した。

でしょう。1は、まず使われる用途がAirDropということで、いわゆる"AirDropテロ"を防ぐソリューションを早めに搭載したかった、という背景があると推定しています。最終的には、UWBの測距技術と高速通信技術を用いて近くの人としかAirDropを使えないようにする、というのが狙いでしょう。昔はTransferJetがAirDropに適している技術かな?と考えていましたが、UWBを使って解決させるというのであれば、なるほど、という感じです。

2は、UWBの低消費電力性でしょう。最初に書いた通り、Frescale系のUWB(AppleのUWBはどっちの方式かは明記されていませんが、こちらと推測します)はIoT向けとして開発がスタートしているため、特別な技術を用いなくても低消費電力が実現できるのでしょう。

iPhoneに乗った意味

iPhoneにUWBに乗った意味は非常に大きいです、というのも、これまでiPhoneに搭載された無線通信技術は全てと言っても過言ではないくらい普及しているためです。

Bluetooth: 初代iPhoneから搭載

これはiPhone登場前からハンズフリー用途として携帯に搭載されていたためiPhoneが成功させた規格ではないですが、iPhone7でイヤホンジャックを無くしてから、イヤホン用途として、一大市場を作り上げました。

WLAN: 初代iPhoneから搭載

iPhoneに搭載される前からPC市場でWLANは既に普及していましたが、スマホにWLANが搭載されることで、加速度的に広まりました。

BLE: iPhone4sから搭載

BLEの規格そのものは、Nokiaが開発し始めた技術ですが、上手くiPhoneが引き継ぎました。iPhoneにBLEが搭載されていなければ、Fitbitのような活動計や、Pebbleから始まったスマートウォッチ、Tileのような忘れ物防止タグやPokemon Go Plusなどは、今でも存在しなかったでしょう。

NFC: iPhone7から

これは、日本ではガラケー時代からあったので後追いですが、普及しているといえば普及していると言えるでしょう。

UWB: iPhone11から

今は、iPhone同士でしか使えません。UWBをBLEと同じような技術と捉えると、iPhone4sが発売されたのが2011年で、Pebbleが発売されたのが2013年なので、UWBが活用される製品が出てくるのは2年くらいはかかるでしょう。スマホの買い替え速度が落ちている今、もっと遅くなるかもしれません。ただ、繰り返しになりますが、UWBの持つ、

  • 測距技術
  • 低消費電力で高速な通信

は、今後、間違いなく市場から要求される技術なので、今後、見守っていきたいですね。


かなり気の早い話ですが、MIDI2.0とUWB MIDIの規格化が早期に進み、UWBが搭載されたArduinoを使って、次世代の無線MIDIコントローラー作りたいですね。今、いろいろBLE MIDIコントローラー作って遊んでますが、明確にMIDI1.0とBLE MIDIでは音楽的に満足出来ない部分が多々あるので...。まあ、5年後くらいですかね...。

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