本題に入る前に、一旦、現行の携帯向けのCPUとOSの関係を整理してみます。両者は、非常に親密な関係にあります。
1. PDA、スマートフォン向け
OS: Windows Mobile(MS), OS X mobile(勝手に名称。Apple), BlackBerryOS(RIM)など
CPU: XScale(Marvell(元Intel))、Samsung ARM11 CPUなど
所謂「携帯」よりも、少し高度な処理が必要な機器に入っているCPUです。この分野に日本の半導体メーカーのものはありません。ザウルス、CLIEが、ボロボロだったため、力を入れてこなかったからでしょうが、フラッシュメモリに続き、またしてもSamsungに一歩リードされてしまいました(iPhone CPUがSamsung製)。韓国の半国営企業であるSamusungの金の掛け方に勝てるはずがない、ってこともありますが、最大の原因は、日本の半導体業界のトップが、未来のトレンドを全く読めていなかったことでしょう。後述しますが、ルネサスにしてもNECにしても、すでに負けが見えているOMAP、MSMに挑むのではなく、Intelさえも見捨てたXscaleに敢えて先見性を見出すことができていれば、今頃、iPhoneに乗っていたCPUは日本製のCPUだったかもしれません。
2. 所謂「携帯」向け
OS: 組み込みLinux, Symbian
CPU: OMAP(TI)、MSM(Qualcomm)、SH-Mobile(ルネサス)、Medity(NECエレ)など
特徴は、CDMA受信後のデジタル信号処理をするCPUと、電話帳管理やJavaを動かすため等のCPUが一緒になっているCPUです。前2社が、ダントツに強いです。
DSPに強みを持っていたTIがベースバンドCPU混合の携帯CPUに強いのは当然ですし、CDMAの特許を殆ど持っているQualcommが強いのも当然で、それ以外の会社は、太刀打ちできる状況にないと思っています。
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これを踏まえた上で本題です。
NVIDIAの携帯向けプロセッサAPX2500、QUAKE IIIも走ります
今回のコンペの一つの目玉が、これでしょう。上記1用途のCPUに新星が登場しました。といっても、私が知らなかっただけなんですが、1年前くらいからNVIDIAからモバイル向けCPUを作っていたようです。
このCPUの特徴は、GPUが一体型になっていることでしょう。EM-ONEのスペックを見るとわかる通り、最近のスマートフォンはGPUを積んでいます。それが、一体型になるっていうのは、サイズメリット、相性問題の回避、引き回しの簡易化など、開発からすると非常に大きなメリットだと思います。消費者からみても、これらのデバイスは安くなりますし、余ったサイズにWiMaxを搭載して、更なる無線お化けを楽しみにできるなど、十分メリットがあります。
CPUとGPUが一体化する、ていうのはPCの今後のトレンドです。AMDがATIを買ったのも、それを見越してです。それが、携帯の世界で先に起こっている、ということは、非常に興味深いです。
携帯プラットフォーム「Android」
もうひとつの目玉です。2向けのOSです。このレベルまでいくとOSレベルを超えていますが。携帯電話企業にとって、生命線は間違いなくハードではなくてソフトで、NOKIAが、現在の地位を誇れるのは、S60プラットフォームという、優秀な高級ミドルウエアを持っているからだと思っています。(こういう書き方をするのは、なんですが、それまで何かの商売で業績があったわけではないのに、HTCが、現在、スマートフォンで飛ぶ鳥を落とす勢いのあるのは、OSにWindows Mobileという社外OSで十分動いてしまうからだと思っています。)
そのNOKIAの有意性を崩す可能性があるのが、このAndoroidです。ここまで動くデモができているとは思いませんでした。
これが世界標準になってしまうと、HTCがスマートフォンを制覇しているような状況が、携帯電話でも起こりうるかもしれません。つまり、今まで名もない台湾系企業が突然、携帯電話シェアを握ってしまう、ということです。現在、設計だけなら、もはや日本企業より台湾企業の方が上だと思っています。いい設計は、過去の問題のフィードバックが、いかに活かせるかどうかにかかっていると思うのですが、最新機器のものづくりは、最近ほとんど台湾系企業の中国工場で行われており、日本の企業が持っていないノウハウがたくさんあると思われるからです。
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非常に心配なのが、日本メーカーが、半導体分野でも、端末分野でも、携帯業界で、益々、厳しい状況に追い込まれる、という現実が、更に明確になってしまったことです。半導体では、PC業界に強みを持っていて非常に大きな工場を持つ企業が本格参入されてしまえば、勝ち目はないし、Andoroidのように非常に優秀な高級ミドルウェアが一般的になってしまえば(まず間違いなく、そういう流れになるでしょう。汎用コンピュータがWindowsが全てを持っていったように。Andoroidが持っていくかどうかは別です。Appleは、ソフト、ハード、一体となって開発することが、大前提なので、絶対にAppleのミドルウェアが携帯を支配することはありえない、ということも断言します(ここでいうAppleは、Jobsが現役である、という条件付きです。)。NOKIAも、同様だと思います。また、一体で開発されたものは、チューニングが完璧なので、どんなに、優秀な携帯ミドルウェアが出ようとも、機能的に最も優秀な端末がApple or NOKIAから出来上がるのも間違いないです。ソニーに優秀なソフトエンジニア部隊が出来る、or Microsoftに優秀なハードウェアエンジニア部隊が出来れば、この2社から、それを超える携帯が出る可能性はありますが、ソニーはPS3を見れば、MicrosoftはZuneを見れば、まあ難しいだろうなあ、ってことを感じます。)、設計で勝負するしかなく、金銭面はもちろんのこと、ノウハウ面でも、もうかなうか怪しい台湾系に、持ってかれてしまうだろうからです。
この心配以上に心配なのが、各日本の携帯メーカーが、この現状を把握していないことです。まあ、メーカーというか、キャリアというか、ドコモなんですが。ドコモって、旧国営企業の中では、かなりお役所体質から脱却しているとは思うんですが、それでもまだまだ、お役所体質です。同じコンペで発表したドコモブースで伝えたかったことは、殆ど海外の方には、伝わっていないようです。
今回のコンペは、iPhone発表の次の携帯業界の変化点です。それを現地で感じ取っているかどうか、906では難しいでしょうが、907で、それが反映されるでしょう。
ということで、来年の春、日本の携帯業界が、どう変わるのか分かるでしょう、正直な意見としては、日本の携帯は、今以上に置いてかれると思っていますが、その意見が覆してくれるような、大きな変化を期待したいと思います。
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